俺の好きなアニメ北斗アニオリシーンを紹介するコーナーその1です。
場面は北斗の拳2(122話)。元斗の緑光将軍タイガによって連れ去られたリン。タイガはリンを餌にケンシロウとファルコを修羅の国に誘いだすつもりであった。アニメではジャスクの役がこのタイガになり、シーノが青光将軍ボルツとなっている。さらにショウキも「赤光将軍」の肩書を得て正式に元斗皇拳の使い手とされた。
金色将軍 ファルコ(イエロー)
赤光将軍 ショウキ(レッド)
紫光将軍 ソリア(パープル)
青光将軍 ボルツ(ブルー)
緑光将軍 タイガ(グリーン)
よろしく戦隊ものにならっての配色であったのだろうが、これはこれで面白いし、正直ジャスクやシーノより魅力的なキャラだと思う。
タイガの声は佐藤正治氏。キン肉マンではバッファローマン、サンシャイン、Drボンベ、マンモスマン、マンリキ、パルテノン、イワオ、真弓(王位編)、聖闘士星矢ではクリシュナ、DBではドーレ、ラカセイ、オリブー等、SLAMDUNKでは海南の監督と鉄男などなど、80年代90年代のジャンプアニメでは絶対誰もが耳にしたことがある超大御所である。
「お前は俺とともにこの死の海を渡ってそこへゆくのだ、フハハハ!!
ここでかかるBGMがあの北斗史上最大の挿入歌「kill the fight」である。
アスカから託されたアインの手袋を身につけるケンシロウ。
バシっと拳を握りしめ、気合充分!羽山氏の作画も最高。
そしてここで千葉繁御大のカッコ良すぎるナレーションが入る。
「死臭ただよう死海の果てに、さらわれたリンの救出に向かうケンシロウ!過酷な運命は、ケンシロウを新たなる修羅の荒野へといざない、再び地獄の闘いが始まる!!」
北斗の拳2は、この「kill the fight」の存在だけで相当印象が変わる。
これを流すだけで全てが名場面になるといっても過言ではない神曲である。
この回においても、このケンシロウが歩いていくシーンだけで、物語が「帝都編」から「修羅の国編」に変わるという強烈な印象を残した。
なにせケンシロウ一言もしゃべってないからね。ただ歩いているだけ。それなのにこの熱さは、この血のたぎりはなんなのか。
千葉御大+「kill the fight」+作画:羽山淳一氏
という最高の素材が揃った神演出であり、俺の中ではアニメ北斗トップ5に入る名シーンである。
余談だが、ジャスクからタイガに変更されたことで疑問符がつくことがある。
「何故タイガはわざわざリンとともに危険な修羅の国に渡ったのか?」だ。
確かにケンシロウやファルコに「まだきさまらの闘いは終わらぬ!さらなる地獄へ突き落としてやるわ!」
と逃げる際にジャスクと同じく復讐を口にしているのだが、そもそもタイガがここまで二人を恨む理由もよくわからない。ジャスクには父の仇という大きな理由があったが、タイガはジャコウに見切りをつけて裏切っている。確かにファルコに対しては良い感情は抱いていないのはわかるが、それでも修羅の国に自分が渡ってまで恨んでいるとは思えない。何故タイガはここまで二人を恨んでいたのだろう。
昔から俺は「ケンシロウとファルコを修羅の国に誘い込むためにリンをさらった」と思っていたが、もしかしたらタイガの目的はケンシロウとファルコを修羅の国に誘い込むのではなく、「リンを修羅の国につれていくこと」そのものだったのではないか。
そしてリンを修羅の花嫁として献上し、褒美をもらってウハウハと悠々自適な生活を夢見ていたか、あるいは元々カイオウと通じていたスパイで、天帝を狙っていたカイオウに献上して郡将あたりの地位を狙っていたのかもしれない。ケンシロウとファルコは当然追ってくるだろうが、修羅なり羅将なりが放っておいても始末してくれる。タイガからしたら、修羅の国は自分にとって危険人物であるケンシロウとファルコから守ってもらえる最高の環境だったのだろう。
でも結局は用済みで始末されたか、砂蜘蛛ほか湾岸警備隊まで連絡が行き届いておらず、侵入者として抹殺されたか、哀れな最期を遂げてしまった。最期の最期に「追え・・追って死ぬのだファルコ!それがこのタイガの狙い!北斗・元斗ともにこの地で果てるのだ―!」とファルコに告げたのは、己の甘さに笑うしかなかった最期の意地、開き直り、怨念だった。そんなふうに俺は思うのである。