世界征服を目論む最悪の軍隊レッドリボン軍の狂人的科学者。孫悟空がレッドリボン軍を滅ぼしたときに生き残り、孫悟空への復讐と打倒のために人造人間の研究を続けていた。全ての人造人間の製作者であり、最後は永遠の生命を得るため、19号に自分自身を人造人間へ改造させた。
19号とともに南の都南西9km地点の島に出現し、ヤムチャを半死半生にした。孫悟空が心臓病で倒れ、勝機とみえたがベジータが19号を破壊するほどの予想外の強さだったため逃亡。
ほかのZ戦士たちのエネルギーをプラスしベジータを上回ろうとするが、ピッコロも自身の予想を遥かに超えた強さを身につけており惨敗。再び逃亡し、17号・18号に最後の望みをかけ起動させるが、命令どおりに動かずその17号に頭を踏み潰され死亡した。声優は矢田耕司氏。
読者がもはや忘却の彼方にあったレッドリボン軍を再び思い出させただけでも作中における功績は高いだろう。まさかこんな時期になってハッチャンを作った人が登場するなんて予想できた人がいただろうか?しかもその博士がむっちゃ強いなんて考えもしなかった。鳥山先生の発想力には全く恐れ入る。
さてそんなコンピューターおじいちゃんだが、正直登場したときのインパクトと終わり際の落差があまりにも激しかったと思う。 ぶっちゃけた話、この人の見せ場はヤムチャを半殺しにしたところぐらいで、あとは回が進むたびにどんどん尻すぼみになっていった。ベジータから逃げるあたりで老獪さをみせてくれ「こいつらのエネルギーをかき集めれば勝てる!」という発想までは良かったのだが、そのあとピッコロを選ぶという選択がいけない。
ついさっき悟空の「予想データを大きく上回るパワーアップ」を目の当たりにし、ベジータの予想外の強さに驚愕し逃亡したんだから、「ピッコロも強くなってるかもしれん」ぐらいの発想が何故できなかったのか。
まずは絶対勝てるであろうクリリンや天津飯からエネルギーを集めてプラスしていれば展開も変わっていたかもしれない。まあ、昔からスパイしてるのに「気のコントロール」を知らなかったという時点で調査不足ともいえるのだが。
カッコ付けた次の回では、もうピッコロさんにかわいそうなぐらいズタボロにされてしまうおじいちゃん。
実は小学生当時、俺はドクターゲロをかなりバカにしていた。天才天才言うけど作ってるもんは19号以外失敗作ばっかりやんけと。しかしそれは間違いだと最近気づいた。過去の失敗作はゲロが悪いのではなかったのだと。
9号以降は全て悟空を殺すために作られたことは間違いない。しかし「なぜ処分されたか」ということは作中では描かれなかった。31巻の扉ページの解説では「失敗作」と表記されていたためゲロがミスったとばかり俺は思っていたが、よーく考えるとゲロの苦悩がみえてくる。なお、ここからは完全に俺の推測である。
レッドリボン軍壊滅のあと、ゲロは9号の開発をし、そして完成した!8号をも上回るパワー!これで悟空を倒せる!と意気込み、まずは現在の孫悟空を偵察してみたら・・・
天下一武道会で天津飯と壮絶バトルをしており3年間でパワーアップしてました。
「こらあかん、9号では無理や」と、9号を超える10号の開発に着手するゲロ。そして完成した!9号をも上回るパワー!これでついに悟空を倒せる!と意気込み、悟空を偵察してみたら・・・
超神水を飲んでさらにパワーアップしてピッコロ大魔王と闘ってました。
「こらあかん、10号でも無理や」と、10号を超える11号の開発に着手するゲロ。そして完成した!10号をも上回るパワー!これで今度こそ悟空を倒せる!と意気込み、悟空を偵察してみたら・・・
天界で修行して超絶パワーアップしてマジュニアと闘ってました。
「こらあかん、11号でも無理や」と、11号を超える12号の開発に着手するゲロ。そして完成した!11号をも上回るパワー!これでやっと悟空を倒せる!と意気込み、悟空を偵察してみたら・・・
ラディッツ戦で死んじゃいました。
もうこの時点で「わたしはいったい何のために・・」と半泣きになったと思う。ここでゲロは、悟空への復讐からバイオテクノロジーへの研究にシフトしたのではないか。そう、セルの開発である。
戦闘の達人たちの細胞を集め、その細胞を合成させた究極の人造人間の研究を始めた。が、コンピューターがだした結論は「あと20年以上はかかります」という非情なものだった。「わしが先に死んでまうわ」とゲロはコンピューターに細胞収取作業を任せた。
そうこうしているうちに悟空がドラゴンボールで生き返っていた。ゲロに再び復讐の炎が燃え上がる!よし12号の出番だ!と思ったら界王様による想像を絶するパワーアップを果たしてました。
しかも界王拳や元気玉なんて新必殺技まで習得していた。これはあかん、今までと一緒のことしてたら勝てんとゲロは複数の人造人間の同時開発に着手した。コンピューターに3体の人造人間、つまり13号、14号、15号の制作を任せ、自身は16号の開発に没頭した。が「悟空を殺すため」というプログラミングを優先しすぎたため、結果は失敗作だった。
しかし16号の研究段階において「永久エネルギー炉」の理論を完成したゲロは、それを人間に融合させた人間ベースの人造人間17号と18号の制作にとりかかった。双子のコンビネーションなら孫悟空を倒せると見込んだのだろう。しかし人間の感情を完全に取り除くことができず、失敗作となった。
そして永久エネルギー炉はコントロールが困難とわかったゲロは、用済みとなった17号と18号をセルのエサになるようにコンピューターに指示を与え、自身はエネルギー吸収式の全人工製の19号を開発し、ようやくひとつの完成をみたのである。
なんていう妄想をしてみたが、こういう妄想ができるのも、未消化の伏線が矛盾しないように放置されているおかげであり、これがDBのいいところだと思う。
それにしても、悟空がレッドリボン軍を滅ぼしたのは12才のとき、セル編では悟空29才。実に17年もの間あんな山奥で一人研究に没頭していたドクターゲロ。その苦労は、自分自身が死んだあとに報われる結果となった。ゲロ自身が途中で開発を断念したセルが孫悟空を殺し、長年の悲願を達成したのである。
なんとも皮肉な結果だが、彼はDBの悪役で唯一、「目的を達成した悪役」なのだ。そこは評価したい。
と彼の人生を振り返りきった感があったのだが平成も終わろうという頃、DBファイターズというPS4のゲームにのみ登場する人造人間21号がゲロの嫁という事実に度肝を抜かされた。
ゲーム自体やってないんでほとんど内容は知らないのだが、あのゲロにメガネの美人妻がいたという事実だけで鬱になりそうなんで、これ以上踏み込まないでおくことにする。愛情たっぷり夫婦でなかったようなのが救いのような、どうでもいいような・・